地域内経済循環がいかに大きな効果を地域にもたらすかが良くわかります。
1万円のうち8千円を地域外のスーパーなどで使う。
2千円を地域内のクリーニング店や八百屋で使う。
地域で使われるお金は20%(2千円)
元 | 地域で使われるお金 | ||
1巡目 | 10,000円 | ➔ | 2,000円 |
2巡目 | 2,000円 | ➔ | 400円 |
3巡目 | 400円 | ➔ | 80円 |
4巡目 | 80円 | ➔ | 16円 |
地域内で使われるお金は、
10,000円 + 2,000円 + 400円 + 80円 + 16円 = 12,496 円
1万円のうち8千円を地域内のパン屋や八百屋で使う。
2千円を地域外で買い物に使う。
地域内で使われるお金は80%(8千円)
元 | 地域で使われるお金 | 累計額 | ||
1巡目 | 10,000円 | ➔ | 8,000円 | 18,000円 |
2巡目 | 8,000円 | ➔ | 6,400円 | 24,400円 |
3巡目 | 6,400円 | ➔ | 5,120円 | 29,520円 |
4巡目 | 5,120円 | ➔ | 4,096円 | 33,616円 |
5巡目 | 4,096円 | ➔ | 3,277円 | 36,893円 |
6巡目 | 3,277円 | ➔ | 2,621円 | 39,514円 |
6巡目以降(10円の台になるまで) | 49,631円 |
地域内で使われるお金は、
10,000円 + 8,000円 + 6,400円 + 5,120円 + ・・・ = 約50,000 円
地域内で売られている全ての商品の80%が地域外からきているものだとします。
買い物のお金の80%が地域外、或いは外国に行ってしまいます。
仮に、東信地域の住民が、全ての買い物を地域内でしたとしても、地域内に残るお金はAさんのパターンのようになってしまいます。
東信地域の商品販売額の総合計は約8,000億円(集計表を参照する)ですが、地域内で使われるお金は、4巡目で、8,000億円 x 1.2496 = 9,996億円 = 約1兆円です。
逆に、地域内で売られている全ての商品の80%が地域内のものだとすると、
Bさんの考え方で、地域内で使われるお金は、Aさんの4倍ですから、4兆円となります。
つまり、地域内の売上=収入が約4倍になります。これに伴って個人の所得も増える筈です。
(これは仮説ですが、大きな的外れでもない気がします。実は、生産物の自給率が判っていないのです。松尾雅彦さんはこれを50%にしようと提案しました。)
35ヘクタールの作付で35トンの玄そば(殻がついたままの実)を収穫したとします。
地域内の食堂で全部売れたとすると、次のようになります。稼ぎの部分が地域の経済効果(付加価値=売上から仕入れを引いた額)になります。
玄そばのまま販売 | 売上: 1,400万円 | ➔ | 種代を引いた稼ぎ | 1,190万円 |
製粉して粉で売ると | 売上: 3,675万円 | ➔ | 玄そば代を引いた稼ぎ | 2,275万円 |
食堂で販売すると | 売上:14,700万円 | ➔ | 粉代を引いた稼ぎ | 11,025万円 |
合 計 | 売上:19,775万円 | ➔ | 稼 ぎ | 14,490万円 |
つまり、農家が原料=玄そばのままで売れば(今までそうでした)、稼ぎは1,190万円しかないのに、それを地域内の食堂で売り切れば、地域内の稼ぎの合計は1億4,490万円になります。地域の稼ぎが12倍になります。
実は、これはそばという加工が一番簡単(水を加えて練るだけ)な加工なので12倍ですが、お菓子やハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工品は20倍から30倍になります。元カルビー株式会社社長の松尾雅彦さんはいつも次のように言っておられました。
「決して大きな工場を造る必要はありません。小さくていいから地元に工場を作って、そこで地域の女性が働いて、新鮮で美味しい食品を作って、地域の人たちが楽しみ、売りに行くんじゃなくてお客さんにもきてもらうんだよ。これが循環ということで、地域おこしの構造だよ。」
これを、地域内乗数効果 (local multiplier effect)と言い、
ロンドンにある市民団体ニューエコノミックス ・ ファウンデーション
の研究成果のひとつ「LM理論」です。
【 この活動は、スマート・テロワール協会(東京)から支援と指導を受けております 】
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