2020年9月、北信スマート・テロワールのオンライン定例ミーティングのこと。
木下荒野さん(31才)が淡々と話してくれた小布施牧場の
創業3年目にして黒字化したその内容は、
スマート・テロワールそのものでした!
なんと彼は、「スマート・テロワール」のことを知らなかったのです!
ニュージーランド、イタリア、スイスで学んだことが
スマート・テロワールだったのです。
この事実は、松尾雅彦さんの「スマート・テロワール構想」が
正しかったことを証明したことになります。
素直に世界に学べば、自ずとたどり着く考え方でした。
「スマート・テロワール」の考え方は、世界では常識だったのです。
その原理は2つ
農場を電気柵で区切り、複数の牧区を設ける。搾乳ごとに次の牧区へ牛を移動させて草を食べさせ、最初に放牧した牧区の草丈が15~20cmに生長したら、また元の牧区に戻すというローテーションを組む。そのため、牛は常に草丈15~20cmの柔らかくておいしい草を食べることができる。
若い草のエネルギー量は、じつはトウモロコシに匹敵するので、濃厚飼料の給与量を減らすことができる。牛舎の中で濃厚飼料(穀物の実だけ)を食べて育つ通常の牛とは味わいと香りが異なるだけでなく、人間の体に良いとされる脂質(オメガ3脂肪酸)やミネラル等が多く含まれることがすでに実証されております。
また、牛の糞によって牧場の土壌は本来の生態系を保ち、更新しなくても草が良く生育する。
1989年、 木下荒野さん、小布施で誕生
'11年、 楽農学園大学楽農学部卒業(北海道)
'11〜'14年、 永井農場勤務
'14〜'15年、 ニュージーランドのNorthash社にて1年間、放牧型酪農を
経験。その後1ヶ月間、妻の葵さんとイタリア、スイスの牧
場をめぐり、食文化、生活文化に触れながら遊学。帰国後、
人工受精士取得。
'17年、 小布施牧場株式会社を創業
'18年、 8頭のジャージー牛導入('20年9月現在10頭)
'18年4月、 ジェラード店オープン
'20年1月、 チーズ工房完成
'22年、 黒毛和牛繁殖牛舎建築予定
1 耕畜連携の推進 ○
2 余剰水田の畑地転換と輪作の導入 ○
3 農工連携の推進 ○
4 工商連携、地消地産の推進 ○
5 食と農のプラットフォームを創る ✖(これからです)
6 スマート・テロワールの自給率目標 ○
7 美しい景観の実現 ○
現状は小布施牧場内の連携・循環ですが、これを地域に広げていけば、北信スマート・テロワールになります。スマート・テロワールの特徴は飼料の自給であり、そのために放棄・荒廃農地が活用され美しい景観が出現します。理念、やっていること、ビジョンに至るまで、スマート・テロワールそのもの!
<理念>
<ビジョン>
ペーターたちが全国、アジアの里山で活躍して、立派に家族を養える、緑の地球。
小布施牧場の基本技術は、ニュージーランド式放牧酪農です。
月刊『農業経営者』(2017年11月号)に掲載された記事から、イントロの一部をご紹介します。
『ニュージーランドで私が見たのは、当時の日本の酪農とは全く別の世界だった。酪農家の自宅を訪ねると、テニスコートやプールがあり、きれいなドレスを着た奥さんがイングリッシュティーと手づくりのクッキーでもてなしてくれた。聞けば、年に2、3カ月、海外旅行に行く酪農家も多いという。例えるなら、ニュージーランドの酪農家は、日本での医者と同じようなステータスであり、憧れの職業だったのである。』
『持続可能性が高いニュージーランドの管理放牧畜産』
http://shinshumachidukuri.blogspot.com/2020/09/blog-post_17.html
◆ 乳牛10頭(内7頭搾乳)で、家族と従業員を養える。(3年目で黒字の見通し)
◆ 観光客を当てにしなくても、地域内の消費で経営が成り立つ。
(小布施の観光客は、9月現在前年比30%。小布施牧場は観光客無しで売上100%)
◆ ニュージーランド式放牧で、購買飼料を減らして、良質な乳製品と肉を生産できる。
(荒廃農地を活用して飼料の自給を目指す)
◆ 20ヘクタールの遊休・荒廃農地と里山が牧草地と飼料生産農地に変わる。
(飼育牛の頭数と堆肥の量と畑地・牧草地のバランスを考慮した営農計画をする)
◆ 荒廃農地、里山が整備され、美しい景観ができる。
◆ 結果として、食料自給率が上がり、地域内経済・資源の循環構造ができ、環境と景観が向上する。
(「スマート・テロワール」の目的)
◆ 荒廃農地や荒れた里山が美しくなり、周囲の環境の景観が良くなった。
小布施牧場の事実は日本中でこのやり方を真似すれば、
今日本で消滅の危機に瀕している畜産業が蘇ることを意味しています。
木下荒野さんは、研修生を受け入れ、人材を育てることを考えています。
意欲のある若者を派遣しましょう!
https://shinshumachidukuri.blogspot.com/2021/02/blog-post_27.html
NHKは、2021年1月8日のあさイチと12日のNHKスペシャルの2回にわたり、脂肪酸のうちの『オメガ3』と『オメガ6』の役割について特集した。
魚の脂やナッツなどに含まれるオメガ3は血液をサラサラにする機能を持っている。これに対し、牛肉、豚肉、バター、大豆 油、コーン油などに含まれるオメガ6は、白血球に働きかけてウィルスや病原体を攻撃させるという重要な役割を持っているが、これを摂取しすぎると、自分の身体を攻撃するようになり、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす。
オメガ3はこの作用を抑制する働きをするが、オメガ3とオメガ6の比率が1:2を超えると、オメガ6が暴走してしまう。しかし、食生活が畜産物摂取が多い欧米型になってしまったため、日本人ではこの比率が1:6から1:10になっている。
野生動物では、この比率は1:2である。牧草を食べさせて肥育した牛肉の比率も1:2である。ところが、トウモロコシなどの穀物で肥育した牛肉では、この比率が1:8から1:10に上昇する。穀物肥育した国産の牛肉を食べていると、心筋梗塞や脳梗塞につながる動脈硬化を起こしてしまう。オーストラリア産の赤身の牛肉の方が健康面では優れている。国民は、所得の高い畜産農家のために、関税による高い価格の負担や補助事業への納税者としての負担を行い、その結果、高い医療費という負担を強いられることになる。
環境の面でも国民の健康の面でも、輸入穀物を飼料とする日本の加工型畜産はマイナスの効果をもたらしている。経済学では、これを外部不経済効果という。この場合、経済学が用意する政策処方箋は、保護や補助ではなく、このような効果を有する活動を抑制·減少するための規制や課税である。
【 この活動は、スマート・テロワール協会(東京)から支援と指導を受けております 】
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